HUAWEI(ファーウェイ)とZTEを排除する日本政府と国内SIerについて

2018年12月7日に米国政府から要請を受け、日本政府は中央省庁の設備に対してHUAWEI製品とZTE製品の調達を取りやめる宣言をしました。

いわゆる「ファーウェイ排除」と呼ばれている、政府機関が民間企業た対して政治的に干渉する大きな取り決めとなりました。

HUAWEI排除自体は日本主導で決定したわけではなく親密な関係にある米国との関係が大きな要因です。

米国は輸出において、「輸出禁止」の国を定めておりますが、HUAWEI社は自社と関連会社を経由して米国製品を輸出禁止国に提供している疑惑がありました。

その結果、カナダでHUAWEIのCFOが拘束・逮捕されました。

この件関しては「クロ」であって、米国の技術を輸出禁止国であるイランへ提供していたための逮捕劇となりました。

しかし、当然のごとくこの件に関しても中国側は反発しています。

元々、スパイウェアが内蔵されているといった黒い噂が絶えないHUAWEIの印象をさらに失墜させるニュースと言っても良いでしょう。

そして米中間での貿易戦争も活発(12日1日から90日間停戦協定)な中で、今回のHUAWEI排除は当然の帰結とも言えます。

何より2018年3月には中韓製の大量のスマートデバイスがマルウェアがインストールされた状態で出荷され問題となりました。

もちろん、感染数トップは「HUAWEI」です。

今回、中国側の主張としては「危険である証拠がない」と主張していますが、実態としてこういった事例も存在します。

このケースの原因も「卸売業者」がインストールした可能性があるとして、開発ベンダーに悪意がなくとも別の経路で「危険因子」が埋め込まれる可能性もあります。

こういった悪い事実だけを確認すると「ファーウェイ排除」は妥当な選択だと言えます。

中国側は否定していますが、実際に中韓製品のみで起きたマルウェア騒動を考えると当然かもしれません。

ここまで悪い情報ばかり書いていますが、グローバルで活躍していたここまで大きい会社がバックドアのような信用を失う仕組みを組み込んでいるのか、と正直なところ不正技術の観点ではグレーだと思っています。

こういった背景を考えたうえで、今回は「ファーウェイ排除」について私見を述べていきたいと思います。

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ファーウェイ・ZTE排除の影響

価格競争の低下による機器高騰の可能性

よく言われるのが「価格」の問題です。

非常に低コストなデバイスや機器の提供をしている両社は当然市場でもかなりシェアを持っています。

ここ5年くらいで一気にグローバルを代表する企業に進化したと言っても良いでしょう。

格安製品のシェアが拡大することで、当然競合他社も価格を再検討しないといけないこともあります。

ファーウェイを排除してしまうと低コストデバイスが無くなる事で市場の製品価格が上がってしまうことが危惧されています。

この話ですが、実態としては問題ないのではないかと思っています。

ファーウェイ排除の動きに合わせて、当然他の企業は市場を取りに行くでしょう。

しかし、ファーウェイの魅力は安価であるのに対して高い製品を押しても二の足を踏む人の方が多いと思います。

であれば乗り換えるために標準価格を少し下げてでもユーザを取りに行った方が良いでしょう。

こういったやり方ですが、ビジネスなので仕方ないと思います。

仮に「ファーウェイ復活」したとしても市場に入る隙間を作らないようにしてしまおうと考える人も少なくないと思います。

ファーウェイ製品と同価格とまではいかなくても心理的な嫌悪感から乗り換えたい人が増えていると推測されます。

世界からHUAWEIとZTEが消える可能性

日本の他に既に「カナダ」「オーストラリア」と「ニュージーランド」は排除を決定しています。
決して米国と日本だけの話ではありません。

そして、英国に関しても通信企業やHSBC銀行が「ファーウェイ排除」を宣言しました。

特にイギリス大手のHSBC銀行は不正取引に口座を利用されたため当然ながら「ファーウェイ」に対して英国内での風当りは強くなります。

欧州各国でもファーウェイやZTEの不採用が続いているようで、グローバルに排除の動きが強まりつつあります。

本来、中国政府やファーウェイ、ZTEが主張すべきは「技術的にも清廉潔白である証明」だと思います。

また、米国との貿易戦争や東シナ海への侵攻など中国の振舞いが他国を刺激しすぎていると思います。

「ファーウェイ排除」はこのままいけば間違いなく全世界で実現すると思います。

厳密に言えば、用途を限定的にしてデバイスを使用することも可能ですが、今のファーウェイとZTEの企業規模で法人取引が何か国も減るのは経営難に直結するでしょう。

そして、今はまだ指で数えられる程度の国数ですが、これからもっと増えると推測します。

それほど中国は他国にとって好戦的に捉えられている証です。

つまり中国はiPhoneの不買活動などしている場合ではないと思います。

中国国内では今Apple製品やiPhoneの不買活動が行われています。

単純にファーウェイ排除の報復活動ですが、世界的にファンの多いApple製品が購入できないのはデメリットではないでしょうか。

サイバー戦争について議論の増加

今回のファーウェイ排除の根底にあるのはサイバー戦争の存在です。

ネットワーク機器に対する攻撃は年々増加傾向にあり、ネットワークはインフラの核になるのは言うまでもありません。

実際問題として、バックドアがあろうが無かろうが「疑念」がある時点で信用問題になります。

そういった意味だと貿易戦争をしている中国も米国もお互いに「疑念」があって当然です。

しかしその話を持ち出すとCiscoやWindowsまで議論が発展してもおかしくありません。

簡単に言えば、疑おうと思えば疑えるものはいくらでもあります。

しかしここで決定的な違いがあるのは「依存度」です。

特にWindowsとなると、国産のOSを持てる企業は多くありません。

また既存の環境にも大量に存在しているため安易にリプレース出来ないのも現状です。

つまり代替の手段がある製品は排斥されやすくメーカーは同じように排除される可能性を孕んでいます。

言いがかり的に報復や排除される危険性もあります。

中国はGoogleの締め出しをしていることもあって、今回は逆の立場となってしまいました。

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HUAWEIとZTEを扱っているSIerはどうするか

取り扱いはやめられない

日本にも「ファーウェイ・ジャパン」があるように各国には現地法人があると思います。

既にパートナー提携しているドコモに限らず、ISP企業や通信キャリアは親密な関係にあったと思います。

基本的には政府の意向に沿う企業が多いですが、その反面サービスの提供に関わるため二の足を踏んでいる企業が多いと思います。

既存の導入機器の撤去がスムーズに出来ないため取り扱いを止めることは出来ません。

また企業によっては「ファーウェイ・ZTEのままでも良い」というところもあるかもしれません。

あくまで、法人や団体の基幹系システムや内部ネットワークに採用しないと言う会社もあるでしょう。

単にインターネットに接続するだけのコアスイッチなどであれば問題にならないかもしれません。

ファーウェイやZTEに対して心理的嫌悪感が強まってはいますが顧客は少なからず残ります。

新規の案件は絶望的に低下する事でしょう。

しかし既存環境の維持だけでもサードパーティのみでは対応できないこともありメーカーサポートは必要です。

問題はファーウェイ・ZTEの利益低下による法人の維持が可能かどうかによると思います。

国産機器を重宝

今回の一件を機に、国産機器をもっと導入するべきだと私個人としては思っています。

サーバ事業に関しては、富士通も日立も撤退してしまったため、インフラ設備の中でハードウェアがこれからも残りそうなのはネットワークだけです。

サーバに関してはパブリッククラウドの普及でオンプレからの脱却が進むため撤退は致し方なしだと思います。

しかしAPRESIAやIPCOMやNETGEARを推しても良いのではないでしょうか。

もちろん、これまでも推しているSIerも多かったと思います。

しかしグローバルで見たらCiscoやJuniperの方がスタンダードになっているかもしれません。

富士通、日立、アライドテレシスだけではなくヤマハもあります。

国産機器であれば信用問題で言えば海外製よりは安心できると思います。

貿易に関しては政治的な意向もありますが国産機器のシェアを伸ばして日本経済でお金を回してほしいと思います。

国内でお金を動かすことで、日本企業が豊かになります。

IT業界で言えば、日本は常に出遅れているので海外ばかりに頼ってもいられません。

自分では出来ないので無責任ではありますが、国産のOSなども開発できるメーカーが出来たら嬉しいですね。

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最期に

ファーウェイ排除問題について書いてきました。

要はまとめると技術的な問題よりも「信用問題」です。

ファーウェイが行ったイランへの不正な取引もそうですし、中国と言う国の振る舞いが問題だと思っています。

IT業界に関係するブログのつもりですので、政治問題にはあまり言及しませんが少なくともファーウェイが「中国の企業」であるからこその対処だと思います。

技術面は正直、実績から言っても申し分ないメーカーではないでしょうか。

サーバー戦争の激化が始まるとすれば、重要設備に導入するハードウェアについてはファーウェイ関係なく議論が起こっていたかもしれません。

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