派遣社員の問題として帰属意識という言葉があります。
帰属意識とは、感じの通りですが自分が所属している元に対する意識になります。
派遣社員は、契約した顧客の現場で就業するので派遣元の会社で仕事をする事はほとんどありません。
しかし、派遣元である所属している会社は帰属を意識を求める事が多いです。
しかし、個人的な経験則ですが帰属意識は必要ないと思います。
むしろ、害悪にも感じる時があります。
会社としては、お客さん先で頑張る社員がヘッドハンティングされてしまう事や、帰属意識が無い事で派遣元の業務が疎かになる事を危惧しているのかもしれません。
しかし、帰属意識が無い方が良い事もあります。
無理やり、会社の業務や集会に呼びつけて帰属意識を無理やり押し付けるような派遣会社もありますが、それは逆効果でしかありません。
そもそも派遣というビジネスモデルを考えたら帰属意識は本質的に関係ないと思います。
そこで、個人的に派遣社員が帰属意識を持たなくてよい理由を3つ書いていきたいと思います。
派遣社員に帰属意識が必要ない理由
派遣は単価が命
派遣社員は単価があり、そこから社員の給料と売り上げを得ています。
そして、派遣なので派遣元の会社での成績よりも顧客からの評価の方が重視されます。
簡単に言えば、高い金額を払ってもらえる人材であれば給料も売り上げも上がります。
派遣元の会社がどこであろうがこれは一緒です。
マージン率については、各企業ごとに差がありますが成果主義の企業が多いので、高い単価を出してもらえれば概ね、給料も上がります。
もちろん、取り引きの信頼度などコネクションの強さも大事なので、会社名が一切関係ないとは言いません。
しかし、単価の7割は個人の能力です。
7割というのは、統計的な正しい数字ではなく私の感覚です。
いくら有名な派遣会社でもスキル不足の人材は契約出来ませんし、単価も低いです。
派遣というビジネスモデルがそもそもスキルのある人間を前提にしています。
スキルに依存するという事は、会社ではなく人に紐づきます。
つまり、帰属意識の有無で売り上げは変わりません。
社内で出世したい人は自然と帰属意識を持つと思いますが、そういった願望が無い人は無理に持つ必要もないと思います。
社員の帰属意識を考えるより、より1人1人のスキルを向上させて売り上げや評判を良くしていく方が正しい選択ではないでしょうか。
無理に帰属意識を押し付けても逆効果
私が以前勤めていた派遣会社では、土日に研修や無給で色々なものを書かされました。
土日はもちろん残業代が出ましたが、そもそも望んでいない形で休日を潰されてしまうのは普通の感覚だと嫌な気持ちにしかなりません。
帰属意識を与えようとして、社員の負荷を高めるからです。
もちろん、帰属意識があった方が良い理由も分かります。
派遣会社は人が流動的で、1年の間に何十何百と人が辞めては入ってきます。
採用コストを考えても、スキルが高くなってから出ていかれてしまうと会社に顕著にダメージがあります。
そういった人を留めるために会社の良いイメージや、会社の事をきちんと見て欲しいのだと思います。
しかし、良い給料を払っていれば辞める人は減ります。
帰属意識なんてなくても、年収が600万以上なら辞める人は少ないのではないでしょうか。
年収600万クラスの派遣単価が出せないと、もちろん出す必要はないですが、マージン率を30%固定にするだけでも違うと思います。
月単価60万なら40万が額面になるので、年収は480万になります。
帰属意識を与えるためにお金を使わないで社員に還元した方がよっぽど社員満足度が高い良い会社になります。
土日に無理やり呼び出されて、そこに経費が支払われているのは経営上どうでしょうか。
それが鬱陶しくて辞める原因の一つになっていれば逆効果も甚だしいです。
帰属意識が無くても、社員がスキルアップし単価が上がり、給料も良くなれば自然と辞める人は減っていくと思います。
派遣元の業務より客先業務が重要
帰属意識を養うための時間やイベントよりも、当然ながら客先の業務の方が重要です。
お客さんの仕事を放って自社の仕事を優先しても良い印象はありません。
許可を得ていても、お客さんの方で緊急の対応があればそちらを優先する必要があります。
この時点で派遣元は顧客より下に属しています。
ビジネスにおいては、受注側が立場的に厳しいのは当然ですが派遣社員の場合は、派遣元の会社の事を深く理解する事よりもお客さんの業務を深く理解する方が重要です。
顧客が目の前にいるので、成果を上げていく必要があります。
また、その成果によって派遣元は利益を得ます。
何でも書いてしまいますが、この点は派遣元がどこであろうと一緒です。
どんなに派遣元の会社の事を理解して頑張っても何も変わりません。
フリーランスの人だって単価が全てです。
顧客にとってより良い労働力であるのが第一である派遣では、自然と帰属意識が無くなるのは当然です。
無理に帰属意識を持たなくてもお客さんの業務に集中し、より高いスキルを発揮していける方が顧客も自分も派遣元も幸せになっていくでしょう。
最後に
派遣社員に帰属意識が必要ない理由について書いてきました。
本当に帰属意識は必要ないと思います。
逆に、きちんとしたプロパー社員であれば帰属意識は重要だと思います。
自社の売り上げが下がっている時に、何が悪いか真剣に考えれる社員が必要だからです。
派遣社員は派遣元の経営状況より、顧客に自分は有益な存在であることをアピールして単価を上げていけるように取り組むべきです。
それが結果的に、増収につながるのですから帰属意識は本当に無関係です。
帰属意識を無理に押し付けてくる派遣会社よりは、自由に仕事に集中できる会社の方が絶対に良いと思います。